ジャンクPCの選び方

2024/12/29

昨日、「後輩がジャンクPC入門する」と言ってLGA775のマザーボードを5000円で買ってきた夢を見ました。

今まで自分のジャンクPCやパーツの選び方をしっかりと文書に書き起こしたことがなんだかんだで無かったので記しておこうと思います。

10年くらい色々中古屋を漁って失敗しまくって得られた結果なので、初めて中古屋でジャンクを買ってみようかなという人には参考になると思います。

逆に、AliExpressでノートPCのフレキシブルケーブルを買うような人は向いていないと思います。(特定の個人に言及)

ジャンクを購入する際の心得

「今必要かどうか」で購入の判断を行わないでください。基本的には以下の基準のみで判断します。

  • 相場価格と大差をつけて安い
  • 中古市場への流通量が非常に少ない
  • 新品や正規中古で購入するほどの価値がないがあると便利なもの

必要ないものは最悪転売すれば良いのです。これは逆説的には転売して大損が出るようなものは特別な理由がない限り買わなくてもいいということになります。

ノートPC

ジャンク初心者の場合ノートPCは全く以ておすすめできません。カスタマイズ性が低い上に情報量も少なく、修理に必要な追加情報も非常に多いためです。

以下のパーツが死んでいるPCは購入しないほうが良いでしょう。

  • ディスプレイ
  • バッテリー
  • ヒンジ

特にバッテリーは高確率で死んでいる上に機種固有のために高価なので、バッテリーが死んでる場合は非常に世代が新しいとか特殊なPCであるという場合であるというのを除いて購入するのはおすすめしません。

逆にバッテリーが生きている場合はキーボードやドライブ、メモリ等が死んでいるくらいでも購入してしまってよいでしょう。

ディスプレイやヒンジは、仮に交換パーツが安く手に入っても交換難易度が高めです。

MacBook

ちょっとした例外がMacBookです。バッテリーさえも交換難易度が高めで、専用工具が必要な場合が多いです。

しかし、MacBookは仮に10年前のデバイスであっても非常にリセール価格が高いため、もし格安で入手できるのならディスプレイやバッテリーを交換する価値があります。

購入前に事前に確認すること

  • 分解難易度
  • 部品の入手性
  • メモリとCPUが可換か

iFixitが分解の難易度を公開しているので、それを参考にしましょう。

部品の入手性はAliExpressで型番を検索し、部品がヒットすれば修理パーツの入手が容易な機種とわかります。

LenovoやDell、Apple等のメーカーは入手しやすく、謎中華や国内メーカーは入手性が低いものが多いです。

デスクトップPC

各構成パーツ単体のジャンクでの注意点は後述し、ここでは完成品のデスクトップPCをジャンクで購入する場合の注意点を書きます。

「自作PC」と明記されているものは市販品のみで構成されていることが多いので修理・改造も非常に用意でしょう。主に田舎のハードオフで値札に記載されていることが多いです。

注意するべきはメーカー製PCです。特に富士通やNECの法人向けスリム型デスクトップは注意が必要です。

これらのスリム型デスクトップはマザーボードや電源ユニットが独自規格で設計されている場合が多く、他のPCやケースへの移植が非常に難しくなっています。

また、メモリスロットが極端に少なかったり、BIOSの完成度が低かったり、PCIeスロットが無いものもあるので注意してください。

一方、起動不可能等の理由でタダ同然の価格で販売されていた場合、メモリやCPU、ディスクドライブ等を再利用するための部品取りとして非常に価値のある"あたり"となり得ます。

CPU

基本的に壊れてることはないので世代が新しくて安いものがあったら購入してしまってよいでしょう。

CPUとマザーボードの相性を購入前にある程度確認する最善の方法としてチップセットの確認が挙げられます。

近年のPCでは見かけることは減りましたが、LGA775(Core2 Duoあたりの世代)等の頃は同じソケットでも対応チップセットによって動作するCPUに大きな差があることがあります。

逆にチップセットが対応していれば、メーカー公式が正式に対応発表をしていないCPUでも案外起動できてしまうことが多いです。

ただし、もう一つ注意する必要があるのが冷却性能です。小学生の頃の私はD551/DXという富士通のスリムデスクトップを使用していました。

LGA1155だったのでCore i3-2120からXeon E3-1275にアップグレードしたところ、アイドル時の温度が90℃という大惨事になったことがあります。

自作PCに慣れている人はこんなことにはならないのかもしれませんが、経験の浅い人は見落としがちだと思うのでお気をつけください。

電源

ATX電源やmini-ITX電源等の規格品とメーカー独自規格のものに分類されます。

規格品である場合は問題無いのですが、独自規格である場合は適合する機種を所有している場合以外は購入しないことをおすすめします。(そももそ中古市場に流れていることも稀)

また、その製品の発表年月も重要になります。電源及びその内部に使用されているコンデンサは消耗品なので、あまりにも古いものを購入してしまうとすでに寿命を迎えている可能性が高まります。

電源が故障するとCPUやマザーボード等の他の製品にまで影響を及ぼし、全部故障ということにもなりかねません。個人的にはSSDやHDDと電源だけは新品を買っておけという感じです。

小学生の頃にブックオフで見つけた20年前の500円ATX電源は4年ほど頑張ってくれました。

マザーボード

世代が新しいものが正義です。もしあえて古い世代を探しており、よりどりみどりな場合はI/Fが豊富なものかチップセットが上位なものを買うと良いです。

事前に確認するべきことは

  • バックパネルが付属しているか
  • CPUソケットのピン折れがないか

に尽きます。これはどちらも目視で確認できることなので、必ずチェックしておいてください。

ただ、最近の上位モデルではバックパネルが無いものもあるので注意が必要です(今のメインPCがこのタイプでびっくりしました)

メモリ

DDR1~DDR3の場合は欲しい規格の最大サイズを調べて、それを探しましょう。例えば、DDR3であるならば8GBのものはなかなか出回っていないため見つけた場合は購入すると良いです。

DDR4以上は執筆現在(2024/12/29)では新品そのものの価格が非常に低下しているので、リスクを負ってジャンクを購入するメリットは薄いと思います。

ジャンクのみでメモリを揃える場合はデュアルチャンネル構成はほぼ不可能なので諦めてください()

DVD・BDドライブ

可動パーツであるため壊れやすいはずですが、個人的な経験上では基本的にハズレはありませんでした。

ディスクメディアは主に以下の要因によって中古市場での価格が非常に低下しています。

  • ディスクメディアの需要そのものが低下した
  • ディスクドライブを標準搭載していた世代のPCの多くがWindows 11非対応
  • SATA接続であるため汎用性が高い

特にブルーレイドライブが1000円以下である場合は買い占めてください。転売だけで元が取れます。(稀に秋葉原で見つけることができます。)

HDD・SSD

基本的にはジャンクで購入する必要が最も無いパーツです。しかし、以下の何れかに該当する場合は購入する価値があります。

  • S.M.A.R.T情報を確認可能であり、非常に状態が良いことが自明
  • タダ/タダ同然の値段であり、ギャンブルを行っても後悔しない
  • まとめ売りされており、状態の良いものが期待されている

データは貴重で購入不可能な資源なので、よほど適当な使い方をするという場合を除きジャンクに限らず中古をおすすめしません。

話が変わってくるのが非常に容量の小さいHDDです。1GB未満のものがあった場合非常に貴重なので購入しておくべきです。(大半が寿命を迎えてしまっていますが)

これらのHDDは、大容量なHDDに対応していないPCで利用することができます。

非PC/AT互換機

ワープロ系はできることが非常に少ないので購入する必要はありません。

それ以外のPowerPC系のOS X、PC-98系、PC-88系、MSX系の場合はまず相場を確認してください。相場より安い場合やそもそも流通量が少なく中古相場がわからない場合は今すぐに購入してください。

購入の際に特に状態を気にする必要はありません。起動不可がデフォルトであることが大半ですが、部品取りとしての価値が非常に高いので無問題です。

また、起動不可の大半は部品が不足しているか電源・コンデンサの不具合であることが大半なので修理可能です。

PC-9821系はスペックが高く、24kHz非対応なディスプレイにも映像出力が可能なので見つけたら買っておくことをおすすめします。

ケーブル類

ケーブル類はジャンクで完全に問題ありません。断線は非常に稀なので気にする必要はありません。

中古屋の店主が理解していないのか、15mのCAT7のRJ45ケーブルが500円だったりThunderbolt3対応のケーブルが200円だったりと破格なことが多いです。

RS-232CやSCSI等の旧式のケーブルは50円や100円でいくらでも購入できるのも非常に旨テイスト。

フロッピードライブ

ジャンクのものの大半は動かなくなっています。体感では5台に1台動く感じ。フロッピーを持ち歩いておけばお店で動作確認させてくれることもあります。

基本的に狙うのは国内メーカーの3モード対応フロッピーです。海外製のものはPC-98世代のフォーマットを扱えません。

インターネット上で型番を検索しても情報が出てこない場合が多く、GoogleよりもTwitterで検索したほうが情報が手に入ります。

ディスプレイ

ベゼルが狭いFullHD以上のもの、もしくは水平周波数24kHz対応のものを再生してください。

HDR対応のものやDisplayPort、HDMI対応のものを探すと良いでしょう。D-SubやDVIしかないものは変換を噛ます必要があって面倒です。 (変換も安く売ってるのでトータルで安く揃う場合も多々ありますが。)

キーボード

メカニカルキーボードを探してください。運が良いとかなり安く手に入ります。

比較的見かけるとなというのが、メカニカル軸を採用したテンキーです。どこに需要があるのかわかりませんが、無いからこそ中古に溢れているのでしょう。

以前に格安で購入し、ハンダを溶かしてスイッチや基板を再利用してやろうと思ったきり放置しています。

マウス

高価なものではないので基本的に中古で購入する意味はあまりないと思います。どちらかというと衛生的に新品のほうがいいかと。

ただし、高級なトラックボールマウス等が格安で売っていたり、スイッチが摩耗しているマウスがありえないような金額で売っていた場合は話は別です。

全部バラして消毒し、中のスイッチを入れ替えましょう。以前に1度だけやったことがありますが、電子工作の経験がある人ならそんなに苦労しないのかなという感じです。 (私は全くズブの素人なので異様に苦戦しましたが)

タブレット型PC

Windows 7~Windows 10初期頃までで謎に流行ったのがタブレット型PCです。(個人的には飲食店の注文端末が中古に流れてきたのではないかと考えています。)

形状はタブレットながら、CPUとしてIntel Atomを搭載しeMMCで動作することが多いです。

AtomとeMMCというスペックは非常に悲しい感じなのですが、それ以外にも罠があります。

これらのPCは2010~2014年に多かった形式ですが、ちょうどその時期はLegacy BIOSからUEFIへの過渡期の時期でした。

その結果、CPUはx64なのにUEFIはx86という奇妙なものが登場していました。(コストカットかなにかなんですかね?)

こういった構成の場合、単にWindowsを入れるだとか32BitのLinuxを入れるという場合にはなんの問題もないのですが、すでにサポートの終わっているWindowsを使うわけにもいかず、Windows 11は当然のように非対応。 あらゆるLinuxディストリビューションがi686対応を打ち切っているというこの現代において、32bitのLinuxを使い続けるというのは非常に苦しい道のりになります。

消去法で残るのが64bitのLinuxですが、x86のEFIは通常のインストールガイドに従った場合はうまく行えないことが多いので、これも初心者向きではありません。

というわけで、Linuxによほど自身のある方以外はこのなアーキテクチャ構成のPCを買わないことをおすすめします。

頑張れば不可能なものではないので頑張ってみるもの一つの手です。私は何度も入れてますが結構だるいです。

用意するべき道具

電源チェッカーはいつもお世話になっている中古PC屋さんに教えてもらったガジェットで、ATX電源を接続して電圧や電流等が適切かどうかをチェックできます。

分解可能なPCは常に1つは持っておくべきです。ジャンクは動作保証がされていないので、起動できるPCでチェックを行うことでトラブル発生時に原因の切り分けを行えます。

精密ドライバは絶対に日本製の良いものを買うべきです。つい先日まで、中学生の頃に買った安い中華の精密ドライバをずっと使っていたのですがネジがすぐにナメてしまう上に先端が潰れてしまってまともに回せなくなりました。 そんな状態のものをだましだまし使っていたところ、大学の先輩に「お前は一生ドライバを触るんだから良いものを使え」と叱られました。 正直今まで自分がドライバを一生使うなんて想像していなかったのですが、PCを買ってまず最初にやることが分解清掃とOS削除なので、やはり先輩の言う通り私は分解し続けるんだと思います。

エレクトロニッククリーナーやエアダスター、IPAは分解清掃用の道具です。私はお金に常に困っている貧乏学生なのでエアダスターの缶がセールになっているときにまとめ買いしていますが、お金に余裕のある方は電動のエアダスターを買うと幸せになれるはずです。 IPAは様々な分解に利用できるスグレモノで、MacBookやスマホにじゃばじゃば掛けて接着剤を剥がしたりシール跡を除去したりできます。Amazonで売ってるものは非常にサイズが大きいので、1つ買えばしばらく困りません。

終わり

直近20年程度のジャンクPCには概ね上記の行動指針にしたがって選別を行えばハズレはないんじゃないかと思います。

まぁ当然ながら市場の価格調査と、通常のPCを購入する際と同様の注意点があることはお忘れなく。

私はどうして年末に彼女もできないまま電車の中でこんな悲しい記事を書いているのかと少しうつ病になりかけています。